畳み込みニューラルネットワーク
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像処理で非常に大きな成果を上げてきました。このニューラルネットワークは対象の位置構造・距離構造に意味がある場合に力を発揮します。
画像はその色(データ)の位置関係が意味をもたらしますから、CNNが大きな成果をあげたことも頷けますし、何よりCNNの構造は人間の視覚処理に共通する性質が用いられており、まさに画像処理に適した方法だと言えます。
AlphaGoでの成果の意義
最近人工知能関連で話題になったAlphaGoがあります。囲碁を打つ人工知能です。この人工知能にはCNNが使われていました。囲碁では盤面の白の石と黒の石の位置関係によって(つまり対象の位置構造・距離構造によって)戦局を判断できそうなのはイメージが湧きますね。(私は囲碁の素人なので分かりませんが…)
囲碁に強いCNNが設計できたとして、それには一体どんな意義があるのでしょうか。
まだ研究内容が産業界に応用されて一般人に恩恵が出るまでは、常に「それは一体何の役に立つんだ?」ということを問いただされます。常にこのような一般人の疑問に応えていかなければなりません。
囲碁を計算機ができるようになると何がうれしいのでしょうか。
データ解析の自動化は機械学習やディープラーニングの応用研究における1つの大きなテーマです。今まで人間ができることをコンピュータができるようになれば、まず自動化ができるという意義があります。
Googleの猫もCNNの成果の1つです。画像から教師なしで「猫っぽさ」というのを認識できるようになったことは一般物体認識という分野を切り開いたという大きな意義があります。
しかし、画像に写っているのが猫なのかどうかは幼稚園児でも判断できることです。一般物体認識は、まだ人間がやったほうが正確な分野でしょう。それでも沢山のデータを扱うときには精度を犠牲にしても速さが求められるケースもあります。猫というワードに対して猫の画像を集めてくれる検索システムでは、多少違うものが混ざっていても構わないです。この場合は応用面ではやはり自動化という非常に大きな意義があります。
でも囲碁を自動化することにはあまり意味がないでしょう。
もちろんそのとおりです。計算機と計算機が行なう囲碁を見て楽しむ人はいるのでしょうか。いるかもしれません。強い言葉は控えますが、きっとこれはAlphaGoが目指そうとしたことではありません。
重要なのはシステムが人間を超えていることが示されれば、自動化のみならず高精度化されるということだと思います。
囲碁という知的活動に関してコンピュータが人間を超える手段を得たともなれば、似たような手段によって共通するデータ解析に結果を出すということが期待できます。
囲碁や将棋での人工知能開発は、人間を超えるデータ解析手法の模索をしていると言えるでしょう。
長い目でみれば、様々な競技に人工知能を使ってみることは、人工知能が成長していく上での1つの経験になってくるのだと思います。
それにしても本当につい最近の昨年将棋電脳戦が終わったあたりでさえ、囲碁で人工知能が通用するようになるには数年掛かるとか言われていたにも関わらず、とんだスピードでの発達ですね。