「G」は世代(Generation)のGで、従って4Gというのは第4世代通信ということです。スマホ以前のガラケーと呼ばれる携帯電話が主流だった時代は、3G通信がまさに最新の通信技術でした。それがあっという間に次の通信規格LTE(3.9G)が現れましたね。実は新たな通信規格が世の中に実装されるときには、同時に次の通信規格の研究が開始されています。つまり当分前から5Gに関しての研究は始まっていたのです。現在CMでも出始めている「LTE-Advanced」というのが、実は元々4Gの研究が始まったときに規定された4Gの仕様を満たした通信規格となっています。4Gは元々2016年の実用化を目指していたため、それがようやく世の中に出始めるという段階です。それと同時に5Gの研究も発展していくことでしょう。
通信技術の発達と5Gに期待される5つの要件
NTT R&Dフォーラム2014
・従来の1000倍ともなるネットワークの大容量化
・10Gbit/sを超えるビットデータレートの高速化
・100倍の同時接続端末数の増大
・無線区間の遅延を1ms以下へ短縮し、低遅延化
・低消費電力化
第二次世界大戦で日本の電話回線インフラは一度崩壊します。その後、前NTTが公社として国の援助を受けながら国内の電話回線インフラを整え、1985年にほぼ全国に電話回線が繋がったところで民営化がなされました。要するに戦後だけで考えても電話回線の発展には何十年という歳月を費やしてき、戦前を含めればほぼ1世紀を費やしています。
一方インターネットが出てきたのはいつ頃でしょうか。元々は研究データを交換するためだけに、研究施設同士を通信するためだけの設備でした。タイプライターの文字を送るだけでよかったので、人間のタイピング速度以上の通信速度は要求されませんでした。そもそも社会インフラとして生まれてきたものではなかったのです。日本では1984年に東大、東工大、慶応大を結ぶネットワークが構築されましたが、これがインフラとして商用化されたのは1990年台当初のことです。そして今では既に社会インフラの重要な基盤となっており、電気を当たり前に使うのと同じように、誰もがインターネットで通信をしています。もはや、電話もLINEなど、インターネット回線で済ます場合が多いのではないのでしょうか。実際電話会社であるNTTも光電話による、電話線を使わず光回線を使ったサービスを提供していますね。インターネットによる通信は僅か20年ほどで爆発的に発展し、あっという間に重要なインフラとしての地位を獲得しました。
日本で商用利用が始まってから30年を迎える2020年台では、上記で述べた通り更なる発展が期待されています。ITと言えばアメリカのイメージがありますが、日本は、この通信技術では世界をリードできるレベルです。是非5Gを世界に先立って実現して欲しいですね。
5Gが実現するV2Xと自動運転
「V2X」とは「Vechle to X(Everything)」という意味です。つまり自動車と何かが繋がるというイメージです。具体的にはリアルタイムで道路交通情報をカーナビに提供するVICSや、ノンストップで料金を収受するETCなどは、V2Xの一例と言えます。これらの通信は遅延が少しくらいあっても大丈夫でしょう。ETCの前では速度を落とすようにすればいいですし、遠くの交通情報はそこに行き着くより前に入ってこればそれで十分です。
5Gに期待されるのはリアルタイムでの通信でしょう。
例えば自動車が事故を起こした際に、あるいは急ブレーキをした際に、すぐさま後続車にその情報を伝えるような仕組みが実際に試験されています。3Gでは0.5秒ほど、LTEの場合は0.1秒ほどで後続車に情報が伝わるとされていますが、これは十分な速さでしょうか。自動運転を想定したとき、前の車が急ブレーキを踏んだことを0.1秒後に知った場合(これは人間の反応よりは速いでしょうが)処理は間に合うのでしょうか。また実際には、自動車は同時にもっと多くの情報と繋がるはずで、通信トラフィックの問題もあるでしょう。これは機械学習や信号処理などの情報処理技術が発達したとしても(つまり自動車に届いた情報を正しく処理し、判断できたとしても)、別途解決が必要な問題となります。自動運転技術の実現には、通信技術の発達も無視できません。
「V to X」に関しては今年に世界的企業の動向がリサーチされたレポートが出ています。
概ね完全自動運転を目指すという方向性で世界が動いていますので、V to Xも外せない主要技術になってくるでしょう。しかし、企業系の技術研究のレポートは基本的に非常に高価です(これも約2000イギリス・ポンドなので個人では読めないです)。
自動運転の動向は気になっているところなので、この辺の技術もチェックしていきたいと思います。